最近のグラフィックデザインのトレンドとして、「ミニマリズム」を強く感じます。
10年ほど前は、雑誌や新聞、ブログなどの読み物では600字くらいが読者の限界だと言われていましたが、最近では200字程度が限界と感じることもあります。タイトルに、いかに中身を示す言葉や気になるワードを含めるかが、重要になってきました。
広告の見せ方も大きく変わりました。以前は、きれいな写真とセンスの良いコピーがあれば、ブランドとしての世界観を表現できていました。しかし、今はInstagramなどで美しい写真を目にする機会が増え、単に「きれいな画像」では人々の心に響かなくなっています。
キャッチコピーも、以前は心に刺さるようなものが好まれましたが、今ではよりダイレクトで、ストレートに訴求するものが受け入れられていると感じます。
フォントの流行についても、10年ごとに太字と細字のゴシック体が交互に流行してきましたが、最近は細めのフォントが主流でしょうか。とはいえ、手書き風のフォントが流行しているのも事実で、時代の変化を感じずにはいられません。
色使いも大きく変化しています。かつては広告の大部分が紙媒体だったため、CMYKカラーが一般的でした。しかし、デジタルの時代になると、印刷では再現できないRGBカラーを一部に取り入れたデザイン手法が注目を集めています。
広告の主流が紙媒体からデジタルに移行したことで、RGBカラーへの抵抗感も薄れてきたのでしょう。広告制作がますます洗練されてきた一方で、時代をリードするような革新的なデザインが少なくなっているとも感じます。
佐藤可士和さんが注目されたのも、もう20年以上前のことです。SMAPなどの広告を通じて、グラフィックデザイナーという職業の認知度を大いに高めてくれました。
今、心から「この広告はすごい!」と感じるものはほとんど見かけません。もしかしたら素晴らしい作品があるのかもしれませんが、少なくとも私の目や耳には届いていません。もしご存じでしたら、ぜひ教えてください。
現在の広告デザインは、コピーを短く、シンプルに、そして一目で理解できるものが求められています。視覚的にぱっと反応しやすいものが重視されています。ミニマリズムが広告をどんどん変えていっていますが、これで本当に良いのかと考えてしまいます。
SNSの普及により、人々は文章を読まなくなり、画像やテキストでは反応しづらくなりました。本を読む人が減っていることも影響しているでしょうが、SNS上の短いテキストはしっかり読まれているようです。
しかし、SNSでの文字を読むことが精一杯なのかもしれません。世の中は情報が社会にあふれ、新聞もブログニュースも、流行のニュースだけをざっと読む人が増えています。その結果、メディアも「読んでもらえる記事」だけを作り、本当に必要な情報を提供しなくなってきているように感じます。
かつて出版社にいた身としては、「読ませる努力」を怠っていたのかと反省する部分もあります。売れるものばかりを追求してしまったのかもしれません。
ミニマリズムはさらに進化し、ついには「読むこと」すら難しくなってきたように感じます。人々は、より手軽な動画の世界にシフトしました。それも、ショート動画と呼ばれる短い形式が主流です。ナレーションも入っているため、文字を読む必要もなく、聞き流すだけで済んでしまいます。
これは進化なのでしょうか。
追伸
この文章は、1,448文字です。最近は読んでいただけない文字数です。