
Q1. 見た感想は?
正直に言うと、全く事前情報がなかったのでどんな世界に連れてってくれるのかと期待が大きかったため、これまでの映画に比べると楽しいというレベルではないなという印象でした。
Q2. 映画のあらすじを説明できますか?
見た直後だと全く説明できなかったですね。数日たってようやく全体がつながってきたので、今ならある程度は説明できますね。
Q3. 印象に残っている場面は?
前半の少年の背景を説明するシーンで、旧家の家の廊下を歩く音とドアの音が印象的でした。ここまでリアルにきしむ音をクローズアップするのはなぜだろうと考えさせられました。昭和の人間であれば経験から田舎のおばーちゃん家に行くとこんな音がしていたなと感じました。
宮崎監督の特徴の一つが「音」にあるのかもしれませんね。また、主題歌、米津玄師「地球儀」の映画内での音源にもきしむ音が入っていたことを思い出します。
Q4. アオサギは、どんな役を演じていましたか?
大叔父のいるマルチバースな世界に誘導するために登場しました。役割についてはよく理解できませんでした。もう数回見ないと分からないかもしれません。ただ、この映画の英語のタイトルが「少年とアオサギ」らしいので、このストーリーにみんなを引っ張って行く道化のような役割でしょうか。
Q5. この映画で宮崎監督が何を伝えたかったと思いますか?
世界平和の均衡を保つことは誰にもできないし、誰にもこの重い役目を託すことはできないというメッセージを伝えていたのではないかと思います。「君たちはどう生きるのか」という問いかけが重要なテーマだったと感じました。
Q6. この映画を誰かに勧めますか?
いいえ。
宮崎さんの作品が好きな人は知っているので、自然と観に行くでしょう。
Q7. 宣伝をしなかった映画について、どう思いますか?
デザイナーとしては、こうありたいという感想です。
宮崎監督はどちらかというと職人肌の監督であり、常に120%以上の力を注ぎながら作品を作り続けてきた人です。その信用と信頼、そしてファンの深度がまさにブランドとなっています。宮崎監督なら間違いないという安心感があります。
結果として、ジブリが宣伝しなくてもTV局がジブリ10年ぶりの新作前に3週連続ジブリ特集をしたり、いろいろな方が話題になるのではなど、周りが勝手に宣伝をしていました。劇場にもチラシ一枚もなく、掲示板には7月14日から公開とだけ書かれていました。
Q8. もし宮崎監督が次の作品を作るとしたら、どんな作品がいいですか?
私の好きな映画というよりは、宮崎監督は自分の心に刺さるテーマがないと作品を作らない人だと思います。だから引退宣言もしたのに少年期に読んだ「君はどう生きるのか」が心に刺さり、7年かけて長編アニメーションを作ったと思います。また心に刺さるテーマがあればそれを見たいと思います。

202250624/追記:これは宮崎駿自身の「心の旅」だった
映画公開後にさまざまなメディアで実際のストーリーについて本人がお話をしています。それについてまとめてみました。
この映画には、宮崎駿監督の私的な記憶や感情が色濃く投影されています。
主人公・真人の成長物語は、戦争中に少年時代を過ごした宮崎監督自身の追体験でもあり、母への想いや、創作の葛藤が物語に静かに織り込まれています。
物語に登場するアオサギはプロデューサー・鈴木敏夫氏を、異世界の“塔”にいる大叔父は盟友・高畑勲氏をモデルにしているとも言われており、現実と空想の境界を越えた、彼自身の“人生の回想録”ともいえる構成になっています。
「君(=観客)はどう生きるのか」という問いは、同時に、宮崎監督が自らに投げかけてきた問いでもありました。