人類の歴史は、まさに技術革新が社会を大きく変えてきた「革命」の連続です。約1万年前の「農業革命」は定住と文明の始まりをもたらし、18世紀後半の工業革命は機械化で生産と労働のシステムを再設計しました。
そして20世紀後半の「IT革命」は情報伝達を劇的に加速させ、グローバルな情報化社会を築き上げました。
そして今、私たちは「AI革命」の真っただ中にいます。AI、IoT、ビッグデータ、ロボティクスといった技術が融合し、人間の知性や判断の一部をAIが担う時代です。
物理世界とデジタル世界が融合し、知能を持つ新たな社会システムが生まれようとしている、まさにそんな時代に私たちは仕事をしています。
このAI革命の次に私が期待するのは、「エネルギー革命」です。気候変動が深刻化し、化石燃料依存が続く現状は、資源を巡る紛争や地球温暖化といった多くの課題を抱えています。
しかし、もし太陽光、風力、そして究極のクリーンエネルギーである核融合や水素エネルギーが普遍的に利用できるようになれば、CO2排出は劇的に削減され、資源争いが減り、より平和で持続可能な社会が実現するでしょう。
ガソリン車が液体水素で動くのが当たり前になるような、地球規模で社会基盤を再設計する壮大なプロジェクトです。
グラフィックデザイナーとして、私たちは単に「美しいもの」や「使いやすいもの」を作るだけでなく、この大きな時代の流れを読み解き、新しい価値観や社会システムそのものを、視覚的なコミュニケーションを通じてデザインしていく役割を担っています。
AIとどう協働し、クリーンエネルギーが普及した社会でどんな新しいライフスタイルが生まれるのか。
それらを想像し、人々に理解しやすい形で視覚化し、共感を呼ぶことこそが、未来のグラフィックデザイナーの使命であると私は強く信じています。